パッシブハウスってご存知ですか?
大変寒い日が続きます。こんな時こそ、住宅における環境について考えてみたいと思います。
① 優先順位
徒然草第五十五段には、日本の住居について「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり…」つまり、家を作るときには、夏の住みやすさを優先して作るのが良いと書かれています。地球温暖化の原因か?暑い日が続くと、益々そう思うこの頃です。
しかし、日本においては、どれほどの性能の断熱材を、どのような厚さでいれるなどの基準が不明確で、耐震性能などと異なり、環境性能について最低限厳守しないと建築許可が下りない基準というのは存在しません。勿論、日本においても、「次世代省エネ基準」というものがありますが、実際、この基準を厳守する必要があるのは、例えば住宅金融支援機構からローン融資を受ける場合などに限られます。そういう理由から「はじめて家を建てる人」は、性能と価格に迷いながら「住まいづくり」をしているという現状なのです。
② 海外での基準
ドイツをはじめとするEU各国では、すべての住宅に対してエネルギーパフォーマンス表示をすることを義務付けています。また、ドイツでは省エネ法令により、ミニマム・スタンダード(その基準を満たさなくては違法である)として、一年間の床平米当たり1次エネルギー量210kWh(キロワット時)をミニマム・スタンダードとしています。さらに、ミニマム・スタンダードをはるかに超える一次エネルギー120kWhという民間のトップランナー基準として「パッシブハウス」が普及しています。
③ パッシブハウスとは
パッシブハウスは、ドイツや北欧で実用化されている高性能な省エネルギーの建物です。日本では「無暖房住宅」とも言われています。各国の法規によって定められた省エネスタンダード(いわゆるミニマム・スタンダード)よりもはるかに上を行くこのシビアな省エネ基準で建てられ、その経済性が実証されるとドイツ、オーストリアで大きく普及し、近年ではEUとは気候の異なるアメリカや韓国でもパッシブハウスの建設が試みられています。
日本の温暖地域における次世代省エネ基準は、Q値(床平米当たりの熱の逃げる量)で2.7W/m2Kとされていますが、パッシブハウスの認定を取得するために、Q値は1.0W/m2Kを切る必要があると推定されています。したがって、パッシブハウスの外皮からの熱の逃げは、次世代省エネ基準の3分の1相当であると言えます。しかし、パッシブハウスを作ることによって実現できる環境は、冬の時期に関して言えば「暖房しなくても家の中全体が20度に近い状態が保てる」まさにそんな感じです。
④ 注目の理由
年間に数日は極端に寒い日が続いたりすることもあるでしょう。極度の寒がりな人には20度では寒いと言われるかもしれません。しかし、例外的な日は除いたとしても、暖房ずせに(=エネルギーをほとんど使わない)家全体がほとんどむらなく20度程度が保てる。「エネルギーの使用は極限まで減らしながらも、快適性は決して犠牲にしない」これこそがパッシブハウスが省エネ建築の世界において最も注目される理由です。そして、その経済性、将来性のゆえに住み手が自主的に選択しているのがドイツをはじめとするEUの環境先進国での現状です。
⑤ 最後に…
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