建築士の考えるプランニングの妙
①「たまご」が先か?「にわとり」が先か?
建築の「良し悪し」は、使い勝手などを左右する平面計画や外観などのデザイン、その他「空間的な広がり」など三次元的な要素を加味して、「良い」とか「悪い」とか評価することが多いようです。また、このような要素以外に、最近の建物に問われている「省エネ性」「耐久性」「維持管理性」なども、勿論、評価の対象となります。
② 建築家にも様々なタイプがあります!
建築家にもそれぞれ建築へのアプローチの方法があります。「平面計画」を中心に行なう「建築計画系」の人、「フォルム(形)」を大切に行なう「造形中心」の人、「内部空間」を重視する人、言葉などにより建築の必然性を求める「観念的な設計手法」の人、人それぞれです。大学の建築学科も、大きく分けると、「意匠系」「構造系」「環境系」などと建築へのアプローチの方法も変わっています。現在では、「ランドスケープ(景観)」的なアプローチの方法など新しい講座も出来てきています。大きな建物を設計する場合、それぞれ得意とする建築家が集まり、協力して設計を行ないます。因みに、私は、「意匠系」です。大学四年生を二年間したのですが(笑)、一年目は、「日本建築史」の講座で、民家調査などをし、二年目は、「西洋建築史」の講座で、西洋、特にアメリカの近代建築から現代建築までを学びました。
② 住まいのスーパースター
さて「住宅」の設計は、どうなっているのでしょうか?昔は、建築家が住宅設計に介在することは少なく、棟梁と呼ばれる大工さんが、平面計画から空間構成、インテリアコーディネイト、構造決定など全てのことを行なってきていました。そして、工事まで行う、正に「住まいのスーパースター」だったのです。このようなことが可能であった理由の一つは、建築される住宅のほとんどが「和風の木造住宅」であったからです。元来、「日本の和風建築」は、「木割(きわり)」などの一定の「ルール」でつくられていることにより、統一された構造形式や形が可能となっていました。また、仕上げについても、「木」「土」「紙」「わら」などで構成することにより、インテリアコーディネイトがされていました。しかし、「現代の住宅」の洋風化や顧客のニーズの多様化により、「住まいのスーパースター」であった棟梁も対応ができなくなってしまったのです。
③ 住宅の専門家
そこで必要となってきたのが、住宅における建築家の介在なのです。そして、今必要なのは、「意匠系」「構造系」「環境系」というような技術のジャンルで区切った専門家ではなくて、例えば、建物の種類で言う「住宅専門」の建築家です。都会では、「住宅建築家」を生業として、工事費の10%以上の報酬を貰い生計をたてている建築家がいますが、地方ではそれだけ、というより、それでは飯が食えないと言うのが現実です。
かと言う私も住宅建築家に憧れて専業設計事務所を営んでおりましたが、現状は、公共建築や店舗など、俗に言うビル設計を主たる業務として生計をたてていました。
④ 住宅建築へのアプローチ
最初の話に戻りますが、私の住宅建築に対するアプローチは、「生活系」です。将来にわたり、そこで展開される「生活」に基盤をおいた設計アプローチです。特に、「子育て」に主眼をおいた、住まいで子供を育てる「住育」に基づくもので、そのようなことから、親子で楽しく住宅づくりにも参加をしていただいています。